本日8月27日から、ピーチ運航便の一部でANAとのコードシェア(共同運行)が始まります。
FSC(フルサービスキャリア)とLCC(ローコストキャリア)はサービス内容に違いがあり、国内線では初めての試みとなります。
個人的には正直、あまり魅力はなく注意点のほうが多い気がします。
重要な点をまとめると、こんな感じです。
- 該当路線のピーチ運航コードシェア便はANAでもピーチでも購入できる
- ピーチで購入するのに比べ、ANAで購入すると価格が高い
- 通常のANA運航便に比べ、ピーチ運航コードシェア便はサービス内容が見劣りする
- 上級会員が受けられるサービスは優先保安検査場とラウンジの利用のみ
様々な角度から見てみたんですが、ANAで購入するメリットが思った以上になかったんですよね…。
この辺りについて、詳しくまとめてみました。
対象路線について
まず現時点で発表されている該当路線は以下の通りです。
路線 | 設定便数 |
東京(成田) ⇔ 札幌(千歳) | 3往復/日 |
東京(成田) ⇔ 福岡 | 2往復/日 |
東京(成田) ⇔ 沖縄(那覇) | 2往復/日 |
名古屋(中部) ⇔ 札幌(千歳) | 1往復/日 |
名古屋(中部) ⇔ 沖縄(那覇) | 1往復/日 |
現時点では上記5路線ですが順次拡大予定とあり、10月から「福岡 ⇔ 石垣」線がANA運航便からピーチ運航便に完全に切り替わります。
価格について
LCCの魅力はサービスを削る代わりに、安い料金で利用できることです。
ではLCCであるピーチが運行するコードシェア便をANAで購入した場合、料金は安いのかというと…全くそんなことはないんです。
例えば8月27日の便を、前日にANAとピーチでそれぞれ検索した結果がこちらです。
ご覧のように最安値はANAだと38,560円、ピーチだと7,590円です。
どちらで購入してもサービス内容はほぼ同じなのに約5倍もの価格差があります。
後述しますがANAで購入した場合のメリットとしては、ANAマイルが貯まることに加えて上級会員は優先保安検査場やANAラウンジを利用することができます。
が、この価格差を払ってANAで購入するメリットは…個人的には正直、全くないかと思います。
通常のANA便との違いについて
ピーチとの共同運航便については、基本的なサービスは運行会社のピーチに準ずる形になります。
そのため通常のANA運航便に比べ、サービス内容が異なっています。
特に上級会員については優先保安検査場とラウンジの利用以外のサービスはありません。
まず、通常のANA便とのサービスの違いを表にするとこんな感じです。
通常のANA便 | ピーチ運航コードシェア便 | |
オンラインチェックイン、skipサービス利用 | ○ | ✕ |
座席のアップグレード | ○ | ✕ |
預け荷物 | 個数制限なし | 1個、20kgまで、スポーツ用品は別料金 |
機内持ち込み手荷物 | 10kgまで | 7kgまで |
ドリンクサービス | ○ | ✕ |
また更に、ANA上級会員にとって通常のANA便とのサービスの違いとしてはこんな感じです。
通常のANA便 | ピーチ運航コードシェア便 | |
ANAプレミアムメンバー専用カウンター利用 | ○ | ✕ |
預け荷物の優遇 | +20kg | ✕ |
優先保安検査場、ANAラウンジ利用 | ○ | ○ |
優先搭乗 | ○ | ✕ |
預け荷物の優先返却 | ○ | ✕ |
こうして見ると結構違いがあるんですよね…これらの中で重要な点について、少し詳しくご紹介します。
チェックインについて
- 通常のANA便の場合、オンラインチェックインやskipサービスが利用可能
- 通常のANA便の場合、上級会員は専用カウンター(ANA PREMIUM CHECK-IN)の利用が可能(ダイヤモンド会員はANA SUITE CHECK-IN)
- ピーチ運航便については、Peachの自動チェックイン機でチェックインが必要
ANAのカウンターではなく、Peachの自動チェックイン機でのチェックインが必須です。
また、上級会員でも専用カウンターを利用することができませんので、混んでいる時は行列に並ぶことになります。
座席のアップグレードについて
- 通常のANA便はキャッシュ払いまたはアップグレードポイントを利用することで、空きがあればプレミアムクラスへアップグレードが可能
- ピーチ運航便はプレミアムクラスの設定がないため、アップグレード不可
ANA便は普通席とプレミアムクラスの2種類の座席が用意されていますが、ピーチ運航便については座席が普通席のみです。
そのため、座席のアップグレードは不可となってきます。
預け荷物、機内持ち込み手荷物について
まず預け荷物については通常のANA便に比べてシビアになっています。
- サイズは縦横高さの合計が203cmまで
- 重量は20kgまで
- 個数は1個まで
- スポーツ用品(スキー・スノーボード・ゴルフ・自転車・サーフボード)を預けるのは別料金
- 上級会員でも重量や個数の優遇はなし
- 上級会員でも到着後の預け荷物優先返却はなし
通常のANA便は個数制限がなく、重量も上級会員は+20kgまで優遇されますが、ピーチ運航便に関しては上級会員でも優遇サービスはありません。
また機内持ち込み手荷物についても、通常のANA便に比べてややシビアです。
- サイズは縦横高さの合計が115cmまで
- 重量は7kgまで
- 身の回り品を含め2個まで
通常のANA便は重量は10kgまでですので、重量に関してはピーチ運航便はちょっとシビアですね。
優先保安検査場、ANAラウンジについて
- ANA便名で予約した場合、上級会員は優先保安検査場を利用できる
- ANA便名で予約した場合、上級会員はANAラウンジを利用できる(ダイヤモンド会員はANAスイートラウンジ)
優先保安検査場とラウンジについては上級会員は通常通り利用できます。ただしANA便名で予約した場合に限りますので、ピーチ便名で予約した場合は利用不可です。
最後に
ここまでざっと主要なANA便との違いについて紹介してきましたが…個人的にはこのピーチとの共同運航便についてはちょっと微妙かな、というのが正直な感想です。
特にスーパーフライヤーズカード(SFC)会員などANAステータスを所持している人にとっては享受できるメリットが少なく、ANAで購入するメリットがほとんどありません。
もし私が利用するとしたら、下記いずれかになるかと思います。
- ANAで予約する場合、ピーチとのコードシェア便以外を選択する
- ピーチとのコードシェア便を利用する場合は、ANAではなくピーチで予約する
- JAL運航便がある路線の場合はJAL便を利用する
ピーチとのコードシェア便は「APJ運航」と表記されていますので、利用したくない方はまずそちらをチェックするのが良いかと思います。
せめてANA便名で予約した場合にはドリンクチケットがもらえるくらいのサービスは欲しいですね。また料金設定がもう少し安くなるなど、何かしらの魅力がないと厳しそうです。
ANAは今までひいきにしていた航空会社ですが…今回の取り組みについてはちょっと残念です。
まだ始まったばかりですので、今後何かしらの改善があることを期待したいと思います。
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